1年

1年、である。





私は2007年-2008年にかけて、宮城県の沿岸部に調査に通っていた。
特に石巻では、調査でお世話になっただけではなく、
当時、あまり元気のなかった私をあれこれ気にかけてくださった方がいた。

その人には、「今後の宮城の水産業をどうしたいですか?」と聞いていた。
「宮城の水産業を元気にしたい。良くしたい」
「宮城の水産業は中小・零細が多い。そういう会社の手助けになれば…」
その人は、熱く語ってくれた。

3月11日から12日にかけては、友人・先輩や、
海外出張中の友人の代わりに友人のご両親の安否を確認するために、寝なかった。
13日-15日はつくばで面接試験で、余震も恐いし、あまりよく眠れなかった。

16日頃からだと思う。
毎朝、同じ夢を見るようになった。
石巻のその人が出てくるのだ。
その人は、毎朝、笑顔で、私に語りかける。
「私は、宮城の水産業に元気になってもらいたい。良くなってもらいたいんです。」

私は、なんとなくその人の安否を確認できないでいた。
その人の職場は全滅した、というのは聞いていた。
でも、なんとなく、希望を捨てたくなかった。
しかし、あまりにも何度も何度も同じ夢を繰り返し見るので、
思い切って、数百ページにおよぶ被害者名簿をダウンロードした。

人は、案外、自分の熱意や思いを、他者に伝える機会を持っていない。
私も、ブログでは語るものの、普段の生活で熱っぽく語る機会はほとんどない。

気にしていたから夢で見た、という可能性もある。
でも、かつて自分の思いを語った私に、思いを伝えたかったのかな、と、思うこともある。

被害者名簿で、その人の名前を見つけてからは、
あんなに繰り返し見た夢を、一度も見ていない。

津波で海に酸素が行き渡ったため、東北の海は驚くほど豊かになっていると聞く。
放射能の問題をはじめ、まだまだ、問題は山積みである。
しかし、きっと、「宮城の水産業は良くなる」と思うのである。
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by charlieee | 2012-03-11 15:03